犬の抗てんかん薬のファーストチョイスは?


 前回に引き続きチョッとシリアスな話題ですが、ボストンテリアにも関係の深いてんかん発作の治療薬についての研究レポートを訳してみましたのでご紹介したいと思います。素人が個人的に訳したものですので、誤訳、間違いがあれば教えて頂けると嬉しいです。

 治療が可能な犬のてんかん発作において、どの抗てんかん薬(AED/anti-epileptic drug)が最も有効かという議論が度々交わされてきました。その理由の一つには犬に投与される抗てんかん薬のメリット(発作を抑制する効果)がデメリット(許容できない副作用の危険性)よりも優れていなくてはならないのですが、今まで犬に投与される主要な抗てんかん薬(※ここではフェノバルビタールブロマイドのこと)の効果と安全性を直接比較する研究(調査)が殆ど行われてこなかったからです。

 そこでAKC Canine Health Foundation(AKCを母体とした犬の健康推進財団・非営利組織。愛犬家の寄付とボランティアによって運営されています)がスポンサーとなり、Dawn Merton Boothe博士と同僚が犬のてんかん発作の初期治療にフェノバルビタール(フェノバール)ブロマイド(臭素塩。古くから用いられている鎮静・抗痙攣薬)のどちらの薬が最善かを決定する研究に着手しました。

 フェノバルビタールとブロマイドのどちらも犬のてんかん発作治療にもっともよく使われる薬ですが、共にメリット・デメリットがあるため獣医師たちはどちらの薬を使用すべきかの選択に迷うことが多々あります。例えば、フェノバルビタールはブロマイドに比べ、より強い副作用を引き起こす可能性があるものの、投薬を中止した際には薬がブロマイドよりもより早く犬の体内システムから消失します。よって通常、投薬中止後2、3日で副作用の症状が改善されます。反対にブロマイドはフェノバルビタールよりも副作用は少ないものの、投薬中止後数か月に亘り副作用が続くことがあります。

 Boothe博士の研究はこの二つの薬のメリットとデメリットのバランスに重きを置き、どちらの薬の使用もてんかん治療において正しい選択であるという結論に至りました。しかしその上で、より重篤な副作用を引き起こす可能性があるものの、総体的にはフェノバルビタールの方がやや優っているとしました。その理由はブロマイドを投薬されていた犬達に比べ、フェノバルビタールを投与されていた犬達の多くが薬によって発作が十分にコントロールされたのと、投薬中に発作を起こしても発作の持続時間が短かったからです。加えて、ブロマイドを与えられていた犬達のうち3頭で実際に発作が悪化したからです(フェノバルビタールを投与されていた犬達には発作の悪化は見られませんでした)。

 事実、研究の初期の段階ではフェノバルビタールを投与されていた犬達の方にブロマイドを投与されていた犬達よりもやや重い副作用が見られました。治療がスタートして一カ月後には、これらの犬達はより無気力となり、過乗に水分を摂取し、身体を動かすことが困難となりました。しかしながらこのような状態は経過と共に著しく改善し、六カ月後にはこのような症状は見られなくなりました。反対にブロマイドを投与されていた犬達は研究期間中ずっと嘔吐と無気力な状態が続き、これらの有害な副作用から治療を中止せざるおえない傾向にありました。従って、フェノバルビタール治療の初期に起こる副作用が重篤であるにせよ、殆どの犬が時間が経つにつれ良い状態になることから治療を続ける価値があるといえます。

 総じて、その効果と副作用の発現期間の短さから研究チームは犬のてんかん発作の治療薬としてフェノバルビタールの方がブロマイドよりやや良い薬であるという結論に至りました。しかし同時に、フェノバルビタールの使用は慎重に扱われなくてはならないと警告しています。最も重要な事柄は二つで、一つ目は治療中の犬のフェノバルビタールの血中濃度(血中内のフェノバルビタールの量)は個体によって大きな差があるということ。二つ目は体内の薬物代謝の程度が経過と共に変化する可能性があることで、治療を施す獣医師が継続的に血中濃度を監視することが極めて重要です。治療に有効な血中濃度を維持するために必要な薬の量は例え六カ月の間でも大きく変わる可能性があります。多くの犬達は長期に亘って治療を受ける必要があり、定期的なモニタリングによって獣医師達は治療中の犬達にとって無用な副作用の発生を防ぎ、かつ発作を抑制するのに必要十分なフェノバルビタールの量を決定できるのです。

Publication:
Comparison of phenobarbital with bromide as a first-choice antiepileptic drug for treatmen of epilepsy in dogs, Dawn Merton Boothe, Curtis Dewey an David Mark Carpenter, Journal of American Veterinary Medical Association, May 1, 2012, Vol. 240, No.9, Pages 1073-1083

追記: このレポートはあくまでもこういう結果もあると頭の隅に留め置き、実際の治療は掛かりつけの獣医師とよくご相談され、ご愛犬に最良の治療法を選択してあげて下さい。

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コメント

有難うございます

haruさん

こちらこそはじめまして。過分なお誉めの言葉と激励を有難うございます。

一BTオーナーとして愛犬のてんかん発作を見守る辛さは本当によく分かります。ご存じかもしれませんが、私も愛犬を二匹、てんかん発作で亡くしています。一匹は突然の重積発作の末、心臓がもたずに亡くなりました。もう一匹は心肥大が進み、浮腫が抑えられなくなったところに6年ぶりに発作が起き(身体が弱っていたせいでしょうね)、やはり心臓がもたずに旅立ってしまいました・・・。てんかんは本当に嫌です。憎いです。

BTの原産国のアメリカでも若年性白内障の遺伝子の次に見つかって欲しいと言われているのがてんかんの遺伝子です。早く、一つでもてんかんの遺伝子が見つかって欲しいと願っています。

ヒメちゃんの発作もお薬が効いて早く症状が改善されると良いですね。そうなるよう心よりお祈りしています。

これからも非力ながら出来る範囲で大好きなBTの為に頑張っていくつもりですので、応援して下さいね。宜しくお願いします。

初めまして・・こんばんは・・・

ありがとうございます・・・というのも私の愛犬ヒメBT(♀)2才6ヶ月も1才2ヶ月に癲癇と診断され、現在フェバノールを服用中でございます。

初めての発作を見たときはさすがに大泣きでした。口から出る泡を見てパピーちゃんの頃からたびたび発作はあったであろうと推測出来ました。ゲージに泡をたびたび見つけては吐いたのかしら・・?と思った事があったからです。

現在は発作も月2回位でしょうか・・・発作の時間も↑の通り短くなりました。お薬のおかげです。抗痙攣薬も重積発作になった時の為に冷蔵庫に常備(もしもの時の為に)しております。使う事が無い様願っていますが・・・
本当に満載の情報ありがとうございます。勉強させていただいています。
これからも良いBTの為に・・・そしてBTを愛する飼い主様、これからBTを迎える方の為に頑張って下さい。
影ながら本当に応援しております。(尊敬します。)

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